事業内容

文化の記録と発信を支えるために
4つの事業領域と、その支援内容・進め方をまとめています。

大手ベンダーが対応しづらい “ニッチ × 高専門性” の領域だからこそ、
現場の規模や状況に合わせた無理のない支援を大切にしています。

アーカイブ構築支援(Archives)

「あるにはあるけれど、どこに何があるのか分かりづらい」
そんな資料や記録を、きちんと探して使える“館や組織の財産”として整えるための支援です。
紙の資料・写真アルバム・WordやExcelファイル・過去の調査報告書など、ばらばらに保管されている情報を整理し、将来の担当者や来館者、社内外の利用者にも使いやすい形にしていきます。

対象となるお客さま

  • 博物館・資料館・美術館・文学館・記念館・郷土資料館・企業ミュージアム
  • 研究機関・市民団体・個人コレクター
  • 企業の社史室・広報部門・研究開発部門 など

こんなお困りごとに

  • 収蔵品や記録が紙やファイルのままで、全体像がつかめない
  • 過去の問い合わせや調査結果が、担当者ごとのフォルダに散らばっている
  • 「あの人しか分からない」情報が多く、引き継ぎに不安がある
  • デジタル化したいが、何から始めればよいか分からない

フィールドアーカイヴが行うこと

  • 資料・記録の棚卸しと、現状の整理・優先順位づけ
  • 項目(メタデータ)の設計と、入力ルール・ガイドラインづくり
  • スキャンや撮影を含めた、デジタル化・データベース化の設計支援
  • 職員用/公開用の「検索しやすく・見やすい画面」のイメージづくり

フィールドアーカイヴでは、すべてのアーカイブ構築において、国際標準のデジタルアーカイブ基盤「Omeka S」を標準採用しています。
Dublin Core に準拠した設計とすることで、将来的なシステム移行や、国立国会図書館が運営する「ジャパンサーチ」へのデータ連携も見据えた整備が可能です。
Omeka S を用いた具体的な構築内容や、ジャパンサーチ連携の流れについては、「Omeka S によるデジタルアーカイブ構築支援」のページで詳しくご紹介しています。


博物館DX・業務支援(Digital)

日々の更新や事務作業を、なるべく無理なく続けられるように整えるためのデジタル支援です。Webサイトやオンラインツールを活用し、館のご担当者が自分たちで運用していける体制づくりをお手伝いします。
初期費用を抑えた導入や、月額ベースのサポートなど、館の規模や予算に合わせた無理のない進め方をご提案します。

対象となるお客さま

  • 少人数で運営している博物館・資料館・記念館
  • 担当者の兼務が多く、事務負担が大きい館
  • デジタルツールを導入したいが、IT専任者がいない館

こんなお困りごとに

  • Webサイトの更新が外部任せで、ちょっとした修正にも時間と費用がかかる
  • 展示・イベント・休館日などの情報発信が遅れがちになっている
  • メール・電話・紙の申込書など、受付業務が煩雑になっている
  • Excelや紙の資料が散在していて、どこに何があるのか把握しづらい

主な支援内容

1. Webサイト更新の内製化と運用体制づくり

  • CMS(更新しやすい仕組み)の選定・構築
  • トップページ・ニュース等の更新テンプレート整備
  • 担当者向けの更新マニュアル、チェックリスト作成

2. 業務フローの整理と効率化

  • 問い合わせ・予約受付・広報依頼などの導線整備
  • オンラインフォームやクラウドツールを用いた導入支援
  • 過去〜現在までの記録を整理し、関係者との共有フロー設計

3. 多言語対応・アクセシビリティ配慮

  • 多言語コンテンツの展開(どこまで訳すか、表示方法の検討)
  • 音声ガイド・字幕・文字情報の整備に向けた計画作成
  • 館のサイズ・予算に合わせたアクセシビリティ対応の優先設計

4. 継続運用を支えるサポート

  • 更新サイクル・担当スケジュール策定
  • 保守範囲の整理
  • スタッフのスキルアップや引き継ぎを見据えた運用改善

集客・情報発信支援(Media)

展示やイベントの魅力を、必要な人に必要なタイミングで届けるための情報発信を支援します。SNSやニュースレター、ウェブメディア「FieldLink」などを組み合わせ、館の特色に合わせた発信の仕組みを整えます。

対象となるお客さま

  • せっかく良い展示をしているのに、情報が届いていないと感じている館
  • 広報専任の担当者がいない、または少人数で兼務している館
  • SNSやメールマガジンを始めたいが、運用方法に迷っている館

こんなお困りごとに

  • 展示やイベントのお知らせが、公式サイトだけに留まっている
  • SNSアカウントはあるが、更新が途切れがちになってしまう
  • どんな人に向けて発信すべきか、ターゲットがはっきりしていない
  • 助成事業や企画展の「成果」を、分かりやすく記録・報告したい

主な支援内容

1. 発信方針・ターゲットの整理

  • 館のミッションや展示の特徴をもとに、発信の目的を整理
  • 「誰に伝えたいか(来館者像・読者像)」の言語化
  • オンライン・オフラインを含めた発信チャネルの棚卸し

2. SNS・ニュースレターの運用設計

  • X(旧Twitter)やInstagramなど、利用中のSNSの整理と使い分けの提案
  • 月ごとのテーマ設定、投稿頻度の目安、投稿フォーマットの作成
  • ニュースレターやメールマガジンの構成案・テンプレート作成

3. FieldLink との連携

  • 東京エリアの博物館情報を紹介するウェブメディア「FieldLink」への掲載支援
  • 展示紹介記事・関連書籍紹介など、読者にとって有用な情報の整理
  • 館の公式サイト・SNSへの導線づくり

4. 記録・振り返りのサポート

  • 展示やイベントごとの発信内容・反応の記録フォーマット作成
  • アクセス数や反応の簡易な振り返り方法のご提案
  • 次回企画へのフィードバックの仕方の整理

導入の進め方(例)

  1. 現在の発信状況(サイト・SNS・紙資料など)の確認
  2. 短期的に達成したい目標(例:企画展の来館者数、フォロワー数など)の整理
  3. 1〜3か月分の発信計画とテンプレートの作成
  4. 実際の発信を一緒に行いながら、運用を調整
  5. 振り返りと、次の展示・年度に向けた改善提案

「たくさんのことを同時にやる」のではなく、館の負担に合わせて、無理なく続けられる範囲からご提案します。
博物館・資料館向けメディア「FieldLink」での発信も視野に入れつつ、来館者と読み手の両方に届く形を一緒に考えていきます。


出版・復刊販売支援(Publishing)

絶版になった名著や貴重な記録資料を、復刊・再編集を通じて新たなかたちにするお手伝いをしています。企画から制作・印刷・販売までを一括でサポートし、小規模でも実現できる出版体制をつくります。

対象となるお客さま

  • 絶版になっている専門書・記録集を復刊したい博物館・資料館
  • 過去の展覧会図録や報告書を、増補改訂して出したい館
  • 小規模な団体や個人で、自費出版に近いかたちで本を出したい方

こんなお困りごとに

  • 昔刊行した書籍の在庫がなくなり、問い合わせに十分に応えられていない
  • 館内でまとめてきた調査・研究成果を、書籍として残したい
  • 商業ベースの出版社に頼むほどの部数ではないが、きちんとした本にしたい
  • 電子書籍やオンデマンド印刷など、新しい形も視野に入れたい

主な支援内容

1. 企画・構成の整理

  • 復刊・新刊それぞれの目的や読者像の整理
  • 既存原稿・図版・データの確認と、必要な追加取材や執筆範囲の検討
  • 判型・ページ数・装丁イメージなど、基本仕様のすり合わせ

2. 編集・校正・デザイン

  • 原稿整理・リライト・注釈追加などの編集作業
  • 図版のスキャン・補正・レイアウト調整
  • 表紙・本文デザインのご提案
  • 校正の進め方やチェックフローの設計

3. 印刷・製本・在庫の相談

  • 想定部数に応じた印刷方式(オフセット印刷/オンデマンド印刷)の検討
  • 予算に合わせた紙質・仕様のご提案
  • 在庫管理や保管スペースを踏まえた部数決定のサポート

4. 販売・広報のサポート

  • 館内ショップ・オンラインストアでの販売方法のご提案
  • Amazon等オンライン書店での取り扱い方法の検討
  • 展示・イベントとの連動企画(刊行記念トークなど)の企画支援

関連する本を館内ショップで取り扱うことで、展示体験の延長として来館者に本を届けつつ、館の収入にもつながる仕組みづくりを目指します。各地のゆかりの記念館や特別展での会場販売などの経験をもとに、ご予算やスペースに合わせた販売方法をご提案します。

導入の進め方(例)

  1. 書籍化・復刊を検討している資料や原稿についてのご相談・ヒアリング
  2. 目的・読者像・予算感を踏まえた企画・構成案と概算見積もりのご提案
  3. 編集・デザイン・校正方針のすり合わせと制作作業
  4. 印刷仕様と部数の決定、納品先や販売チャネル(館内ショップ・オンライン等)の確認
  5. 販売開始後の追加発注や増刷の流れ、広報方法の確認

小さな規模の出版でも、無理のない範囲で実現できるよう、一歩ずつご一緒に進めていきます。
寄付や助成金とあわせて、「本」というかたちで館の活動を長く支える手段として位置づけていくことも大切にしています。