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カセットテープの発明者Lou Ottens氏が逝去

カセットテープの発明者Lou Ottens氏が逝去

 海外メディアBBCらが報じたところによると、カセットテープ(コンパクトカセット)の発明者として知られるオランダのLou Ottens氏が3月6日(現地時間)に地元で亡くなった。享年94歳。

 同氏はPhilipsに入社し、コンパクトカセットを発明した。コンパクトカセットは互換性を厳守することを条件に、基本特許を無償公開したことで事実上の標準規格となった。その後ソニーの「ウォークマン」が対応、その記録的なヒットにより、人類が音楽を楽しむスタイルに多大な影響をもたらした。

 同氏はその後、CDの開発にも携わっている。コンパクトカセットはこれまでに累計1,000億個、CDは累計2,000億枚出荷されているという試算がある。

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父、木原信敏は2011年2月13日、83歳で亡くなりました。

それから10年後、存命なら93歳だったので、このカセットテープの発明家とはほぼ同じ歳だったということになります。

木原信敏の著書『ソニー技術の秘密』に、オッテンスさんの事がしっかり書かれていましたのでここに掲載しておきます。

第4章「ソニー技術のスピリッツ」とはなにか

柳の下にいつもドジョウはいない

 昭和五五年には、ソニーのビデオムービー(八ミリビデオ)の標準化についての打ち合わせをしました。翌年には五社会議を開き(ソニー、フィリップス、松下、日本ビクター、日立)、ビデオムービーの最終合意に至りました。この時期にフィリップスの開発副社長のオッテンスさんに会うことができたので、磁気カメラ『マビカ』の説明をしたところ、CCDカメラはフィリップス社でも研究しているが、「こんな高価なCCDイメージャーを使ったカメラを誰が買うのでしょうか」との返事でした。オッテンスさんは、私が昭和四三年に初めて会ったときはVTR担当部長で、ベルギーにあるテープレコーダー工場の工場長、そしてテープカセットの発案者でもあり、VTRの開発責任者でしたから、VTRのカセットもA面B面で使うことに固執したのでした。このVR―二〇〇〇型VTRをヨーロッパで発売したのですが、いろいろと問題が発生したため、数年で発売を中止して、VHS型VTRをOEM販売することになりました。柳の下にドジョウは二匹おりませんでした。
 CCDイメージャーはどうでしょうか。技術は進歩するものであることを見抜けなかったのでしょうか。それともフィリップス社の技術ではとてもできないと思われたのでしょうか。残念ながら柳の下のドジョウを逃がしてしまったようです。
 フィリップス社は技術力のある会社なのですが、VTRは力不足であったのか、残念ながらヨーロッパからもVTRメーカーが姿を消してしまって、とうとうVTRは日本勢だけが残ったという変則的な状態になってしまいました。

『ソニー技術の秘密』

オランダと日本の発明者同士、話が合って仲良しだったのかなと思っていましたが、あらためて文章を読んでみるとちょっと牽制しあっているような様子が読み取れます。

お互い切磋琢磨していたのでしょうね。




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よろしくお願いいたします。

2021/03/11