東京メガネミュージアム
インタビュー

公開日:2019/12/28 | 更新日:2021/07/20
東京都
企業博物館
歴史資料館

古今東西の珍しい
メガネを見ることができる

東京メガネの先代(四代目)社長が古いメガネをコレクションし始めたのがきっかけで、本社の一室をミュージアムにして展示を始めたそうです。膨大なコレクションの取り扱いの苦労話を伺うことができました。

  • Date:2019.11.21 13:00~
    Interviewee:今泉様(東京メガネ 宣伝室 室長)
    Interviewer:木原(フィールドアーカイヴ 代表)

質問1:この施設ができたきっかけ、なぜここに建てられたのかを教えてください

今泉室長
当社の四代目社長である白山晰也(しらやま せきや)が古いメガネのコレクションをし始めたことがきっかけです。

白山晰也は現在の五代目社長である白山聡一(しらやま そういち)のお父様にあたります。

相当数のアンティークメガネが揃ったとのことで、現在、260点程度、展示しております。
今までコレクションしてきたものを、一般のお客様にもご覧いただき、メガネに関して興味をもっていただこうと、14年前の2005年に現在の場所に開設しました。

質問2:常設展示に際し、他の記念館にはないユニークな品や見せ方などは何ですか

今泉室長
ユニークな品としては、現存する日本最古の眼鏡とされている、室町幕府12代将軍・足利義晴(1511-1550)が所持していたという眼鏡の、精巧なレプリカを間近でご覧いただくことができます。
その他、1350年代の複製の木製や象牙製のリベットメガネをはじめ、西洋国内で普及した鼻メガネ、日本国内で普及したひも付き鼻当て付き眼鏡など、各国で独自に発展していった眼鏡の歴史を実物を見ながら知ることができます。

正統なメガネフレーム類とは別に、変わったフレームの収集も数多く、例えばスパイグラスやオペラグラス、単眼鏡や2000年メガネ、横になってみるメガネ、犬用のメガネなど、おもしろいメガネも収集していますし、頭痛を治すための眼鏡、鉄道士用保護眼鏡、さらには1940年代のプラスチック製強角膜コンタクトレンズなども展示しています。

老舗メガネ店ならではの品として、明治時代の検眼器や、創業(1883年、日本橋人形町)当時に使用された特注のメガネ柄接客用ひばちなども見ることができます。

見せ方としては、ご見学の際には必ず、当館スタッフが一緒についてご説明をし、随時質問に受け答えしながら見ていただくというスタイルをとっております。

質問3:開館当初の見せ方から変化した部分はありますか、もしあればなぜ変化させましたか

今泉室長
2005年のメガネミュージアム開設以降、多少のレイアウト変更などはありましたが、基本的には、開設時当初の見せ方をしております。

四代目社長の白山晰也は、メガネフレームの収集と共にメガネの歴史にも精通しており、ダイヤモンド社から『眼鏡の社会史』という本を出版しております(現在絶版中)。

本を読まれてミュージアムに来館していただく方も多くいらっしゃいます。

質問4:続けていくにあたって苦労されていること、お困りごとがもしあれば教えてください

今泉室長
数多くのアンティーク品を展示しており、来館していただいたお客様に分かりやすく丁寧に説明するために、1つ1つの展示品が作られた時代背景やどういった使用用途・目的があったのかを調べる作業が一番大変です。

日々勉強しながらご案内させていただいているのが現状です。

あと、展示されている品々のメンテナンスや取り扱いですね。
まれに店舗での催事でミュージアム品の展示依頼があるのですが、展示されている品々は壊れやすいので、取り扱いには常に細心の注意を払っています。

質問5:その他、ご来場の方々に何かお伝えしたいことはありますか

今泉室長
見学をご希望の方は、弊社ホームページの「東京メガネミュージアム<S・T・A・G・E>」に記載しておりますメールアドレス、または電話番号にご連絡いただきますよう宜しくお願いいたします。

個人のお客様、学校や企業・団体は問いません。
見学とガイドは無料です。
ご予約いただかないと、すぐにご対応できかねる場合がございます。
ご来館の際にお待たせすることなく、ご対応させていただくためにも、事前にご予約いただくことをおすすめいたします。

日本国内で、このようなアンティークメガネ、ケース、補聴器、光学器類を多数展示しているところはないと思いますので、その歴史の数々を感じていただけますと幸いです。
宜しくお願いいたします。

見学した際の感想

木原
目が良くなる道具である眼鏡が「悪魔の仕業」とされていて、進歩が妨げられていた時期があったという話が面白かったです。
そのほか、頭痛を直す眼鏡とか、今では1種類の使い道(視力矯正)しかない眼鏡に対し、あらゆる方向に可能性を求めていた時代もあったのかと感じました。

それにしてもよく集めたなぁ!というのが感想。
これでもごく一部で、あとは裏に大量に保管されているそうで、オペラグラスや眼鏡ケース、補聴器まで、あらゆる目の周辺にまつわる道具がコレクションの対象だったようです。

個人的には話を聞くだけではなく、体験ができるともっとよいなと感じました。
例えば鼻メガネや江戸時代の耳かけ眼鏡など、各コーナーに1つレプリカがあって、実際にかけてみられたりしたらいいのにと感じました。このミュージアムはありがたいことに写真撮り放題なので、珍品メガネ姿の自撮り写真が撮れたら面白いし、SNSにアップされたら宣伝効果もありそう。
補聴器も見るだけでしたが、実際どんな風に聞こえるかちょっと耳にあててみたかったです。

さすが老舗メガネ店の、目にまつわる、どれもとても興味深い珍しいコレクションでした。