公開日 : 2018/07/22 | 更新日 : 2018/08/05

遺族は遺品をどう扱うか

自分の情熱を見つけ出すために、まず以前書いていた、父と私の年代記を書き直してみることに。

やるからにはちゃんとやろうと、あらためて、父、木原信敏についての参考文献として『ソニー技術の秘密』のほかにもう一つ、1999年に出版社から請われて書いていたものの実際には出版されなかった子供向け伝記も一般に公開しようと思い立ちました。

父亡き今、遺族の一人である私は、以前だったら手にとれなかった父の所有物、遺品を扱うことができるようになっています。

今まで、何ヶ所か個人記念館を見学していて、「それってファンはもちろん見たいから公開してもらってありがたいけれど、ご本人がご存命だったらはたして公開を許したのかなぁ?」というものまで展示されていることがありました。

恋文みたいなものとか、自分で没にしたネタとか。

遺族や遺品を整理する人にとっては、一般に公開することもなく、存在を埋もれさせたまま綺麗に保存し続けることに、疑問を持ってしまいかねません。
本当にこのままここにしまっておく意味あるの?と。

引っ越しして小さい家に住み替えるとなったら、究極の選択になります。
将来何らかの形で研究してもらえるかもしれないという気持ちがあれば保存しておくし、その価値がないとみなされたものは処分されてしまいます。

遺品がどうなるか、ある程度は残された遺族次第というところがあります。

これは私自身もそうで、周りにいる二世もまったく同じなので「遺族あるある」「二世あるある」だなぁと思っているのですが、自分の父親(あるいは母親)がすごい功績を残したからといって、子供、遺族はそこまでその功績に興味がない、というのがあります。

周りの人に「それ貴重だから!」といわれて、ようやく「へー、そんなもんかしらね」というくらい、興味がない。

ほとんどの二世にとっては、父の遺した資料よりも、自分が如何に生きるかに興味があるのだと思います。
伝記好きでアーカイブ好きな私ですら、父の資料は全く興味の対象に入っていなかったくらいですから。

だからといって、興味がないからとすべて処分してしまえる勇気のある遺族は、亡くなった方が著名人であるほど少ないようです。
でも基本的に興味がないため、正直手に余る。
そんな遺族は結構多いのではないかと思います。

ではどうするかというと、著名人の遺族の多くは、財団をたちあげたり、国や都や区や市に譲渡するわけです。
そして譲渡された方としても、ただ保存しておくこともできないので、個人記念館という形にして有効活用しようというわけなんですね。
個人記念館という形は、ファンにとっても遺族にとっても保存管理者にとっても、三方良し、な形なのです。

確かに亡くなった人の気持ちは置き去りになっているかもしれませんが、そうやって保存公開していかないと処分されてしまうかもしれないというわけです。

ちなみに、父の場合は、ソニー木原研究所が解散した際と、我が家が一軒家からマンションに引っ越しした際の2回、大きな処分が行われています。

父はその両方とも存命中でした。
本人がそこまで自分の作ってきたものや過去のものに興味がなかったのでしょう、今から思うととっておくべきだった!というものもその際に行方知れずになってしまいました。
本人が保存に固執しなかったものを、周りが残しておくわけにもいかないし、また、亡くなった後に残っていたからといって、すべて本人が保存したいと判断したものとも限らないのが難しいところです。

でも、本人が亡くなった今、本人に縁のある品はできるだけ綺麗に保存管理するのが、あるべき遺族の遺品に対する扱い方だという思いに達しました。

私は、父の個人記念館を持つほどの財力も遺品もない身ですが、少ない資料を有効活用させたいという思いは強く持っています。

いままでは単なる「遺族」だったわけですが、いつしか「保存管理者」という面が強く出てきて、今はその意識を持ってとりかかっています。

その一つが父の絶版本の復刊事業であり、資料をネットに公開していこうという活動です。

私なりの、理想の遺品の扱い方は以下になります。

・ 一般に公開することのない資料も、疑問を持たずにすべてナンバリングして保存管理をする。

・ ナンバリングをしたすべての資料をネットで検索できるようにする。

・ 個人的な内容のものは、ナンバリングして整理した上で存在だけ公開し、詳細な中身は非公開。

・ 小さい画像とテキストで内容が把握できるようにする。

・ 遺品の原本はきちんと管理された場所に保管し、扱うのは複製のみ。

これができれば、個人記念館といった特定の場所がなくても、資料を必要とする人の元に情報が届き、遺族もそこまで管理が大変でなく、保存管理者も扱いやすくなる。

この形を確立し、是非、全国の遺族の方々のお役に立てる日がくるといいなぁと思っておりますが。

現実はまだその状態からは程遠く💦

一部しか存在しない父の貴重な資料ですら、最近まで雑に扱っていました。

例えば、この画像の上のB4版の父の伝記原稿、今まではサイズが大きすぎてスキャンもできないので、原本そのままを扱っていました。

今回、慌ててA4にサイズダウンして、扱いやすくしました。
これからはこの複製を使っていこうと思っています。

ただ、この複製も原本をコンビニに持っていって縮小したりと、まだまだ貴重書だという意識がうすい。

今のままだと、この原本が水に濡れたり汚れたらもう修復不可能なので、気持ちをきりかえて、大事に扱っていこうと思います。